はくちゅうむー


青「ここは… どこだろう…」

ぼんやりとそんなことを考えていた。
ここは夢なのか、はたまた精神だけがトリップして異空間に閉じ込められたか―
とにかく、フワフワと宙を浮いている感じでとても不安だという事しかわからなかった。
青「独りは嫌だな…」
ふと、そう思う。
俺の傍らにはいつも"アイツ"が居るべきで。 ずっと一緒に居られるものだと思っていたから。
いないと気付くととたんに動悸が襲ってくる。
青「依存か…、アイツはきっと迷惑に思ってるんだろうな。」
ポツリと呟いて悲しくなる。
アイツは優しいが故、弱い所を見せれば彼は自我を殺してまでも、俺を慰めようとしてくる。
青「アイツの優しさに、俺は甘えてんのかなぁ…」
できることならアイツも俺に依存してくれればいいのに、と思ってしまう。
いつも俺一人が一方的に突っ走ってしまって。
アイツは抵抗するけど、拒絶はしないからついついそのままズルズルと…
青「溺れてしまうんだ―」


相変わらずフワフワと浮きながら、俺はぼんやりと出逢いの時を思い出す。
仕組まれていたとはいえ、それは双方にとって望まれた出逢いではなかった。
青「最悪な出逢いだったな…」
 「俺は精神崩壊してたし、アイツは突然現れた強大な"異物"に…心底肝を冷やしただろう。」
創造主は侵略者に囚われた。
しかし、彼の分身たちは彼を失っても猶、壊れる事はなかった。
青「アイツは ―大した奴だよ。」
 「結果、俺の狂気はアイツの希望に勝てなかった。
 「―そういう事なんだろうな。」
 

 「―それにしても、だ。」
 「何故、アイツは…」
 ―俺の事を。


青「確かに俺は倒された後、力を失ったおかげで狂気から解放された。」
 「消えそうになる意識の中で、必死に、アイツの幻影を…追い続けていたんだ。」
 ―消エタクナイ。 ―会イタイ……
もう一度、招かれざる敵としてではなく、彼の世界に準ずる客(ゲスト)として…
青「今思えば、アイツを支配し、能力を奪ったからだったのか。」
 ―あの、異常なまでの回復は。
青「本当に駄目だと思ってた。」
 「―でも消えそうな俺の力とは対照的に、俺の身体に残っていた何かが。」
 優しく自身を包み込んでいた事がわかった。
 次第にその力に守られるように…俺は自分でも驚くべき速度で再生されていくのを感じていた。
青「俺がアイツを訪ねた時」
 「アイツはまだ、ようやく自分の意思で身体を動かせる程度だった。」
創「―… 青―…?!! 生きて…いたのか。」
 あの時のアイツの目は ―覚悟とも、諦めとも取れる目をしていたな…。
青「辛そうだな…」
じっと、アイツが俺の瞳を見つめてくる。
…まるで瞳の奥に俺の真意があるとでもいうように。
それを、必死に見透かそうとしているような。
創「………。」
何か言いたそうなアイツの目の前に、俺はストンと座り込む。
青「昔話でも、しようか。」


創「…そんな話を、信じろというのか…?」
アイツは黙って俺の話を聞いていた。
話し終わると、そう力なく呟いた。
頭を下げて小さく振っている。 少し混乱しているようだった。
 ―ああ、コイツは本当に。
青「何もかも、忘れてしまったんだな―」
創「…。」
再びあげられたアイツの顔は ―今にも泣きだしそうだった。
青「―泣きたいのは、俺の方だっての。」
そっと、抱きしめる。
創「…知らない。 私は、知らない…」
身体が、恐ろしいほど冷たい―
青「そう、か。」
アイツの言葉に胸を締め付けられる。
わかっていても、最愛の弟から忘れられているという事実を突き付けられるたび、俺の自我は簡単に壊れそうになる。
青「傷つける気はなかった…」
自然に腕に力が入る。
創「貴様が何をしたか」
青「赦してくれとはいわない。」
創「…っ」
青「ただ、二度と…俺のことを忘れないでくれ。」
創「―青…」
青「そう、俺は青だ。」
 「それさえ、覚えてくれりゃあいい…。」
優しく頭をなでる。
創「……。」
アイツが、俺のぬくもりを欲するかのように、体を摺り寄せてくる。
―こういうところは昔と変わらないんだな…
創「…」
しばらくすると、すやすやと寝息が聞こえてきた。
青「寝たのか…」
俺はそっと白創を床に横たえると、自分の領地に戻るべく踵を返した。
創「待て」
ふいに、呼び止められる。
創「その… 泊ってけ。」
青「?!」
創「お前が私に、危害を加えないというのなら…ここに居ても構わん。」
 「というよりまだ本調子でない分、心細くてな…」
お前みたいな奴がまた襲ってくるかもわからん、とアイツは苦笑しながら言う。
青「…」
ゆるゆると俺は白創の前まで戻ってきた。 相当にやけていたのか、白創は頬を染めて横を向いてしまった。
青「心細いから、抱きしめていてほしいのか?」2828
創「……うん。////」
青「そーかそーかww」
俺は白創の頭をわしゃわしゃすると、そのまま抱き抱えて制御室のベッドに放り投げた。
創「ぎゃっ…?!」
ギシリ、とベッドが軋む。
青「病人はおとなしく寝ていないとな。」
創「な、何を―?!」
口づけをする俺を必死に押し返そうとする白創だったが、力が戻ってないせいか、しばらくしないうちにだらりと腕を垂らしてしまった。
青「ほほぉ、こりゃ重体だ。 ここまで手ごたえがないとはな。」
創「はぁっ… はぁ…」
恨めしそうな目で白創が俺を見る。
創「危害を加えないと……言った…!」
青「だが、今のお前じゃどうせ俺を追い返す力はないんだろう? 安心しろ、痛くはしないから。」
創「そういう…問題じゃ…!」ビクンッ
青「んん、いい反応だ。」
創「あっ… は…! や、やだ…! やめて…!」
青「どうして? 気持ちいいんだろう?」
創「…っ」
いやいやと白創が首を振る。
その仕草がかわいらしくて、つい苛めたくなってしまうというのに。
創「ひゃ…あぁぁああ!」
青「ば、そんな大声出すと連中に感づかれるだろ!」
創「だ、だめ…ぇ! そこ…はっ… やあぁ!!」
青「ダメってお前…こんな張りつめたままでいたほうが苦しいだろうに。」
創「ああぁぁあぁぁぁ…っ」
青「おい、白創。 …白創?」
白創がぐったりとしたまま動かなくなってしまった。 どうやら意識が飛んだらしい。
青「おま… 弱すぎるにも程があるぞ…!」
ゆっくりと彼をベッドに横たえる。
青「ま、弱ってるなら仕方ないか…」
抱き枕のように彼を抱きしめながら、俺も目を閉じた。


翌日目が覚めた時、壁に半分埋め込まれた状態になっていたのは驚いたが。










ぐだぐだつづけたらエロになっていた件について。
まだちょっとだけつづくんじゃ