クルシミマスでついったログ

  • Marine snow



いつか会えなくなるその時まで。




「寒いな…」
ハァと息を吐くと、代わりに排熱ファンがぶぉんと唸りをあげた。
「…クリスマスだね。」
「興味あるのかよ」
「…ううん、カレンダーに入ってたから」
「そうか」
なんて味気ない会話だろうと伊織は1人眉をしかめる。
(こんなオンボロに情緒的な展開を期待してもな…)
「来年」
「え?」
「来年も…こうやって一緒にすごせるといいね。」
穏やかに微笑んだ為久斗は…笑顔と反してすごく儚げで。
その白い体躯は今にも空気に溶けてしまいそうで。
「…当たり前だろ、縁起でもない事いうんじゃねぇ」
少し毒づいてしまったことに後悔しつつ為久斗の顔を見れば、彼は満面の笑みを浮かべてこちらを見返していた。
痛々しく小刻みに震える体を、俺は思いっきり抱きしめる事しかできなかった。


「伊織…寒いの?」
「……そうじゃねーよ馬鹿」
「…ちょっと痛いよ」
くすくすと笑う為久斗をうっせ、と言い静止させつつ更に腕に力を込める。
「…あったかいね」
あやす様にゆっくり頭を撫でられ、俺は羞恥に顔をうずめた。
「天然は大っ嫌いだよ」
「…ふふ」
ゆっくりと顔をあげた俺に、アイツの柔らかい顔が降りてきて、そっと唇を重ねられる。
「…メリークリスマス」
「…っ」
離れようとしたアイツの顔を無理矢理引き戻してもう一度キスをした。